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エイジングシートの誕生 その1

更新日:2020年3月21日

出会い



エイジングシートは、ある出会いから生まれました。

旬熟成で熟成肉を提供している中、実体験での美味しさを伝えることができたのですが、根拠にかけてしまっていると感じていました。そんな時、美味しさの数値化ができないか?と思うようになっていきました。なぜ熟成肉が美味しいのか?なぜ柔らかくなるのか?熟成香とは何なのか?などを見えるようにしよう。


そこで様々な方に相談していくのですが、まずどんな人がこの答えを見出してくれるのか?考えました。この時に大きな分かれ道となってたであろうと後から気づいたのですが、なんの研究者が一番欲しい答えを出してもらえるのかということが重要でした。まず頭に浮かんだのが、畜産の研究をされている方か微生物の研究をされている方のどちらかだろうと。


私の熟成肉に対する考え方は、菌が大きく影響しているということを日々の経験から感じていました。ですので、微生物を専門に扱っている方に的を絞って探し出しました。


一番手っ取り早いのが、旬熟成のお客様でそんな知り合いの方がいないのか?片っ端から相談しました。常連さんの一人の方が、明治大学農学部の先生と仕事をしていると聞き、即座に菌の研究している農学部の先生を紹介していただけないかお願いしました。


結果そこで出会えたのが、明治大学農芸化教授の村上先生でした。この出会いが今後の多大な影響を与えました。


村上先生にまずは熟成肉を食べていただき、さらに熟成肉の状態を見ていただきました。後から聞いた話では、微生物の専門家である先生は基本的に微生物単体の研究をするのが日常だそうで、そこに微生物の栄養源の一つであるタンパク質は邪魔であり、ましてやカビの生えた肉が食べられるのか?という疑問すらもあったようです。


食べた肉は旨い、でも見た目は毛カビが生えていてなんなんだ?学生の課題としても面白そうだし、世間でも大分賑わしている熟成肉だから、一緒に研究してみようかとなっていきました。


二人の思いが重なって、研究がスタートしていきます。

地方にある熟成庫まで案内したり、熟成肉のサンプルを提供して何の菌が影響を及ぼしているのかを研究していただきました。そこで徐々にいろいろなことがわかっていきました。


そんな中でも一番重要な情報が先生から知らされました。。。


この青いカビは、抗生物質でもあるペニシリウム属の仲間ではあるが、非常に高い毒性の持ち主もいるので、これは避けた方がいい。

我々は人に料理を提供して商売しています。その中でも一番避けたいのが、食中毒です。それが発生すれば一発でも閉店まで追い込まれてしまう可能性があるのが現実です。ましてや人体毒性の可能性があると聞けば尚更のこと。


早急に解決していこう。。。



巧みな技のマニュアル化


まずトライしたことは、何よりも菌の正体。

この菌はどんなやつなのか? 日々作り上げている熟成肉から、目視できるいろいろな菌があったのですが、その数種類のサンプルを採取しました。

村上先生がそのサンプルを研究室に持ち帰り、大まかなあたりを付けて検査をしました。

まず行った検査は同定試験(種名を調べる行為)で、遺伝子解析を行いました。

そうした所、一つの答えにたどり着いた菌の種類が、Helicostylum pulchrum(ヘリコスチラムという接合菌)という菌種でした。



ヘリコスチラムは安全なのか?


その安全性について村上先生は話しています。

生産方法、「エイジングシート」に用いているカビ(Helicostylum pulchrum)は、その菌体抽出物に細胞毒性がないことが科学論文(日本食品微生物学会誌、第30巻1号、15-21ページ、2013年)で報告されている。


ではこの菌を使いエイジングシートに仕上げていこう!







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