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執筆者の写真meat epoch 跡部美樹雄

エイジングシートは保存シート⁉︎

エイジングシートの新たな使い方


ある企業様からエイジングシートの問い合わせがありました。

チリでサーモン養殖している会社で、エイジングできないか?というお話をいただきました。


もう一つ価値を上げたいというご要望でした。


チリ産のサーモンはノルウェーやアトランティックサーモンと比べ、脂が少なくどうしても評価が低く、価格も安いというイメージです。私も、板前当時サーモンを仕入る場合は、基本的にノルウェー産を選んでいたのを思い出しました。


では、エイジングシートを使用して、チリサーモンの旨味を高め、且つ保存期間を延命できたら一気に評価を上げることができると思いました。そこで、新しい取り組みを考えてみました。


輸送期間 = 熟成期間

運んでいる間に熟成ができたら最高です。チリから成田空港に到着し、お店までの時間はおおよそ4〜6日後。その運んでいる間で劣化を防ぎながら美味しくなったら言うことないですよね。そんなことを想像しながら開発に取り組みました。




セミドライエイジング法の誕生

従来のエイジング方法はドライエイジング。ある程度の風を当てながらエイジン

グすることで長期間置くことができました。しかし、風にあたることで離水してしまったり、表面が乾いてしまいトリミングしないとならないため、どうしても歩留まりが減ってしまいます。


エイジングには、菌と温度のバランスが重要です。そこで、改めて温度に焦点を当てて考えてみました。気体温度と水温は温度は同じでも感じる温度は全く異なります。例えば、25℃の気温では若干暑く感じますが、25℃の風呂に入れば寒くて浸かっていられません。それはもうプールの温度ですねw それでも入り始めは躊躇するくらいです。


そんなことを考えたときに、ときにふと気づいたんです。


水は冷蔵庫に入れておけば、水の温度は冷蔵庫の設定された温度と同等まで下がります。

その中にエイジングシートを巻いた魚を入れておけば、2℃くらいの温度をキープできますす。そうすれば、菌の動きは最低限のレベルで働き、変化を限りなく抑え、鮮度維持することができると考えました。

実際に試験してみたところ、予想を遥かに超えた物が仕上がりました。


検証内容は、6日目のサーモンに、エイジングシートを巻き、「10日間」上記の写真のようにエイジングしてみました。


その完成品がこちらになります。

氷漬けから揚げてミートラッパーをはずした状態



変色もなく、悪臭もしない



身の色もきれいです。若干、飴色がかったような、透明感があります。



刺身にしてみました。


実食してみると、何とも言えない味わいに。。。。


まず、生臭みが無く身もしっかりしていました。16日経過した魚とは到底思えません。

食感はねっとりもっちり。

養殖臭も全く無くなり、何より脂が甘い。。。一番衝撃だったのは、ドリップが出ないということ。水に浸かっていつので、離水することはほぼありません。ですので歩留まりは限りなく100%です。


こんなサーモンは口にしたことがありません。

これは全く新しいサーモンが仕上がったと思いました。


セミドライエイジング方の誕生です!


この方法であれば、様々なもので保存を目的にした鮮度維持が可能となります。

日本に送る日本から送るどちらも鮮度を落とさず運べるため、使用期間が長くなると言うこと、さらにその移動時間を美味しくする時間に変えられる。ロジスティックの概念を変えることができるのです。


新たな扉が開いた瞬間でした。


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